髪の悩みとしてよくあげられる「くせ毛」。うねったり、何をしてもまとまらなかったり、特に梅雨の時期は、せっかくセットしてもすぐに広がったり、はねたり…。程度の差こそあれ、日本人の8割以上がくせ毛に悩まされています。
くせ毛にはどんな種類があるのか。どうしてくせ毛が発生するのか、なぜ雨の日に髪が広がるのか…。意外と知らないくせ毛について、解説します。
くせ毛の種類
くせ毛は4種類に分類されます。
くせ毛の多くは「波状毛(はじょうもう)」「捻転毛(ねんてんもう)」「縮毛(しゅくもう)」の3種類になります。日本人のくせ毛のほとんどは波状毛ですが、波状毛と捻転毛が混在しているケースや、全体は直毛であっても部分的に波状毛が存在しているケースなど、その状態はさまざまです。「連珠毛(れんじゅもう)」のように数珠が連なったようなくせ毛もあります。
くせ毛の原因
くせ毛には、①先天的なくせ毛と②後天的なくせ毛があり、それぞれ原因も違ってきます。
① 先天的なくせ毛
生まれつきのくせ毛には、遺伝や毛髪の成長過程が関係しています。
毛髪は、毛根の下側にある毛球から生えます(詳しくはコチラ「毛髪の基本構造」)。毛球で作り出された髪はまだやわらかい状態ですが、毛根を通る間に徐々に硬くなっていき、頭皮表面から出てくるころには、毛髪の形状が完成します。毛根が真っすぐな形状だとそのまま真っすぐに成長して直毛になりやすく、毛根の形が曲がっているといびつなまま髪の毛が成長してくせ毛になりやすくなります。
実際に、毛髪を輪切りにすると、くせ毛の断面はいびつな形状をしていることが多いということも分かっています。(図2)
②後天的なくせ毛
後天的なくせ毛は、加齢やダメージが原因になります。
加齢により髪が細くなり弾力が低下することで、まっすぐな状態を保てなくなった髪のうねりが強くなり、くせ毛になることがあります。生まれつき直毛の人でも、弾力低下によりくせが出てくることも。また、年齢を重ねるごとにくせが強くなっていく傾向があります。(図3)
一方、ダメージによるくせは、様々な要因が考えられます(ダメージについて詳しくはコチラ「毛髪のダメージ要因」)。
パーマ剤やブリーチ剤による化学的なダメージはもちろん、ドライヤーやアイロンなどの熱ダメージや、タオルドライなどの摩擦による物理的なダメージもくせ毛の原因になり得ます。濡れた状態の髪に熱や摩擦を与える実験では、毛先にくせが現れるという結果が出ています。
また、紫外線などの環境によるダメージの影響で、くせが出てくることもあります。表面の髪は、内側の髪よりも日常的なダメージを受けやすく、細かいくせが出やすくなります。
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くせ毛と湿度の関係
湿度が高い日に、くせが出やすくなるのは何故なのでしょうか。髪と湿度の関係を見てみましょう。(図5)
くせのない髪は湿度変化の影響をあまり受けていませんが、くせ毛の場合は、水分を含むと、くせの内側と外側の水分量が不均一になり曲がりやすくなります。
湿度が下がっても、元に戻らずその状態をキープしてしまうので、湿度によって髪はどんどん広がってしまうのです。
スタイリング剤を使ってセットしたり、くせ毛に対応した製品など自分の髪に合ったアイテムを使うことで扱いやすさは変わってきます。くせ毛を抑えるための手段としては、ヘアサロンで縮毛矯正やストレートパーマを施術することが最も有効ですが、くせを活かしたカットやパーマなどのスタイルを相談するのもおすすめです。くせ毛の特性を理解し、上手に付き合っていきましょう。
参考:『きほんの毛髪科学』(女性モード社刊)
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