2021.06.30

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髪って酸性? アルカリ性?

毛髪は、肌と同じく「弱酸性」が理想ですが、パーマやヘアカラーを施術するときには薬剤の性質により、酸性やアルカリ性に変化します。pHが変化することは髪にとって、どのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか?pHからわかる毛髪の性質と、毛髪とpHの関係について解説します。

 

pHってなに?

pHとは、水素イオン濃度をわかりやすく数値化したものです。その数値により、酸性、中性、アルカリ性に分かれます。pH値が低くなると酸性に、高くなるとアルカリ性に近づきます。身近にあるものでは、酸性がレモン、中性が水、アルカリ性はこんにゃくが挙げられます。

毛髪のpHは「4.5~5.5(弱酸性)」が理想的といわれ、この値を毛髪の等電点(とうでんてん)といいます。ウロコ状に重なり毛髪全体を包んでいるキューティクルの状態もpHによって変化します。等電点よりpH値が低くなると、キューティクルが閉じます。この状態を収斂(しゅうれん)といいます。キューティクルは毛髪の外部と内部を隔てるドアのような役割があり、収斂はドアを閉めるようなイメージです。そうなると、毛髪全体が硬くなっていき、手触りが悪くなります。また反対に、pH値が高くなると、キューティクルは開き水分などを吸収しやすい状態になります。この状態を膨潤(ぼうじゅん)といいます。毛髪内部へのドアを開くことになり、毛髪内部の補修に有効な成分やヘアカラーの染料などが浸透しやすくなります。その一方で、ドアを開けたままの状態だと、毛髪内に浸透した成分が抜けやすくなってしまいます。

 

pHを知れば、ヘアカラーやパーマの仕上がりをコントロールできる?

毛髪のpHは、使用する薬剤の性質により影響を受け、変化します。

一般的に多く使用されているヘアカラー剤は、アルカリ性です。そのため、ヘアカラー施術中は毛髪もアルカリ性になります。キューティクルが開くので、染料が毛髪内部に入り込み定着し、発色します。毛髪のpHをアルカリ性にすれば、染料が毛髪内部へ浸透しやすくなり、ヘアカラー剤の発色向上が期待できます。もし、ヘアカラー剤が酸性であれば、ドアを閉じることになり、染料は毛髪内部へほとんど浸透しません。

ヘアカラー後は、日々のシャンプーやトリートメントによって、1~2週間かけて弱酸性(等電点)に戻っていきます。等電点へ戻ることで、キューティクルのドアは閉まっていき、染料が流出しにくくなります。ただし、ヘアカラーの施術直後に急激にpHを低くしすぎると、ヘアカラーが変色する可能性もあるので、注意が必要です。

パーマ剤は、一般的に1剤はアルカリ性、2剤は弱酸性で設計されています。1剤でキューティクルを膨潤させドアを開き、有効成分を毛髪内部へ浸透させ、カールまたはストレートに変形させる状態を作ります。2剤は1剤が作ったカールまたはストレートの状態をキープするため、キューティクルを閉じる役割をします。これによって持続性のあるカールやストレートが実現できます。カールの強弱はpHの設定を変える事でも調整されています。例えば、ゆるいカールにしたい場合、アルカリ性が高すぎないpHに設定すると良い結果が得られます。

 

使う薬剤を変えれば、 カラーの発色向上やパーマのかかり具合をコントロールすることもできます。ただし、ダメージが進んだ毛髪をアルカリ性にすると、内部の必要なタンパク質まで流出しやすくなり、より傷んでしまうことも考えられます。ダメージした髪にヘアカラー剤を使用する場合は、ヘアサロンで相談するのがおすすめです。pHをコントロールすることで、膨潤させて有効成分の浸透を促進させたり、毛髪を収斂させて閉じ込めたり、施術効果を高めることが期待できます。

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